美容のために必ず摂りたいビタミンC 5月になり日差しが強くなってきましたね☀️
通勤の時に浴びる朝日が、眩しくて目を開けるのが辛い院長です笑
実は紫外線は5月からどんどん強くなっていくのをご存知ですか?
下の図を見てみてください。なんと5月のUVAはすでに6,7,8月と同じレベルです。
(UVAというのは波長が長く、真皮まで到達する紫外線です。そのため真皮のコラーゲンを破壊し、たるみやしわ、毛穴の開きの原因になります)
UVケアしっかりしないといけませんね‼️
肌の老化の原因の80%は紫外線とも言われているので、肌のアンチエイジングには紫外線対策が必須なのです^ ^
このような季節だからこそ、積極的に摂取したいのが「ビタミンC」です🌱
ビタミンCには以下のような美容効果があります✨
美白効果 → シミやくすみの予防・改善に有効。 ・チロシナーゼというメラニン産生酵素の働きを抑える ・黒色メラニンに還元反応を起こすことで、無色化する効果
抗酸化作用 → 紫外線やストレスによる活性酸素を除去し、肌老化を予防。 (紫外線を浴びると活性酸素が産生され、私たちのDNAやコラーゲンが傷ついてしまいます)
コラーゲン産生促進 → 真皮のコラーゲン生成を助け、ハリ・弾力アップ。ビタミンCはコラーゲン産生における補酵素として働きます。
皮脂分泌抑制 → ニキビの改善や毛穴トラブルに有効。その他、血管壁を強くする効果や免疫力を高める効果、銅や鉄、カリウム、葉酸などのミネラルの吸収を高める効果など様々な体に良い効果があります✨
ただ私たち人類は、このビタミンCを体内で産生することができないので、食事等で外から摂取する必要があります。
(他の動物の多くは、グルコースからビタミンCを作ることができます。しかしヒトはビタミンC生合成経路の最後に位置する酵素(GLO:グロノ-γ-ラクトン酸化酵素)に遺伝子変異があるため、ビタミンCを体内で作ることができないのです💦)
ビタミンCはとても不安定 このように良いことだらけのビタミンCなのですが、
・酸素や光や熱によって容易に酸化される
・pHが酸性でないと安定しない
・皮膚に浸透しにくい(角質が脂溶性のため)
・濃度が高いものだと、お肌が乾燥したり、ピリピリとした刺激感を生じやすい
という短所があります。
そこで、いろいろな研究がなされ、化学者たちが
「使いやすいビタミンCの形を見つけよう!」
と努力の結果作られたのが【ビタミンC誘導体】 です。
これはビタミンC(アスコルビン酸と言います)に様々な物質を結合させて、
化学的な性質を変化させたものになります。
このビタミンC誘導体が皮膚に浸透してく過程で、様々の酵素によって物質の構造が変化し、
最終的に純粋なビタミンCに変換されて皮膚に作用していきます。
ビタミンC誘導体はものによって、水に溶けやすかったり(水溶性)、油に溶けやすかったり(脂溶性)、水と油に溶けたり(両親媒性)と性質が異なってきます。
けれど、このビタミンC誘導体、非常に数が多い!!
今回は、このビタミンC誘導体の種類についてまとめることにしましょう。
種類が多いビタミンC誘導体 なお、今回の記事は以下の2つの論文を参考にしていますので、
興味のある方はぜひご一読ください。
①有料の論文です(とてもわかりやすく、詳細に書かれています)
Christina D. Enescu, et al. (2022) ”A review of topical vitamin C derivatives and their efficacy”
Journal of Cosmetic Dermatology Volume 21, Issue 6 Pages2285-2696
②こちらはフリーアクセスです
Amanda Costa Caritá, et al.(2020)
"Vitamin C: One compound, several uses. Advances for delivery, efficiency and stability." Nanomedicine. 2020 Feb;24:102117. doi: 10.1016/j.nano.2019.102117. Epub 2019 Oct 30. PMID: 31676375.
🟦【水溶性ビタミンC誘導体】
水に溶けやすく、安定性は高い(pH7前後で安定)。
代表的なものはリン酸塩と結合させたもので、APMやAPSが代表的です。
ただしこれらは電荷が強いので、皮膚への浸透性は劣ります。
成分名 備考 アスコルビルグルコシド(AA-2G) 安定性が高く、持続型
リン酸塩よりも抗酸化力が強い
皮膚にはαグルコシダーゼが少ないため、ゆっくりと変換される 1994年承認(資生堂)
リン酸アスコルビルMg(APM) 皮膚への浸透が悪い
1983年承認(武田薬品)
リン酸アスコルビルNa(APS) 皮膚への浸透が悪い 3-O-エチルアスコルビン酸
(VCエチル)
即効性+持続性 2004年承認
接触性皮膚炎の報告が複数ある
・アスコルビン酸が安定するpHはpKa4.2前後ですが、APMやAPSはpH7.0-9.0まで物質として安定。
けれど電荷密度が上昇しているため皮膚への浸透性が不十分。
・ビタミンC誘導体はビタミンCに変換されて効果を発揮するのに対して、VCエチルそのままで効果を発揮することから、「即効型ビタミンC誘導体」とよばれています。また72時間かけてビタミンCに変換されるため、持続性もあります。
・VCエチルは、VC誘導体の中で、変換後のビタミンC(アスコルビン酸)量が最も多くなります。VCエチル5%溶液は、APS8%溶液、APPS14%溶液に相当するビタミンCを含有しています。
🟩【脂溶性ビタミンC誘導体】
油に溶けやすく、皮膚への浸透性が高い ため、深部 まで届きやすく、持続的な効果 が期待されます。
成分名 備考 テトライソパルミチン酸アスコビル(VC-IP、テトラヘキシルデカン酸アスコルビル)
保湿力が高い 変換されるまでに時間がかかる(持続型) 2007年承認 アスコルビン酸テトラヘキシルデシル(THDA)
まだ日本ではあまり認知されていない
研究データも少ない
VC-IPと非常に近い性質
パルミチン酸アスコルビル
(AP、ビタミンCエステル、AA-Pal)
安定性が低く、酸化脂質ラジカルの原因になる可能性あり
VC-IPとTHDAはとても似ていますが、下の構造式(上がVC-IP、下がTHDA)を見てみると、
VC-IPについている脂肪酸の方が分岐が多くて折れ曲がっています。
一方でTHDAについている脂肪酸はどれもまっすぐです。
🟨【両親媒性ビタミンC誘導体】
水にも油にもなじむ性質を持ち、浸透性と安定性のバランスがよく、肌深部(真皮)まで働きやすい のが特徴です。
成分名 備考 アスコルビン酸グルコシドリン酸ジナトリウム
(APPS、アスコルビン酸-2リン酸-6パルミチン酸)
やや高価 やや安定性が悪く、高濃度で配合できない(酸化しやすい) 浸透性が高い アスコルビン酸リン酸エステルカリウム + パルミチン酸(VC-PMGなど) 機能性と安定性のバランスが良い グリセリルオクチルアスコルビン酸 (GO-VC、カプリリル2-グリセリルアスコルビン酸)
高い安定性。保湿性のあるグリセリンと殺菌性のあるオクタノールが結合している。 イソステアリルアスコルビルリン酸(APIS)
安定性が高い、APPSより浸透性が高い
APPS(ビタミンC+リン酸エステル+パルミチン酸エステル)はビタミンCに変化されるまでに、
ホスファターゼとエラスターゼという2つの酵素が必要ですが、
APIS(ビタミンC+イソステアリルリン酸エステル)はホスファターゼのみでビタミンCに変換されます。
🧪まとめ:分類と効果比較表
分類 主な成分 浸透性 安定性 使用製品例 水溶性 AA-2G, APM, APS △ ◎ 化粧水、美容液 脂溶性 VC-IP, AP ◎ ○ クリーム、オイル 両親媒性 APPS, VC-PMG,GO-VC ◎ ○ 高機能美容液
結局どのビタミンC誘導体がいいの? 結論から言うと、今ご紹介したビタミンC誘導体の中においては、
【両親媒性】のものが一番おすすめです。
実は私たちの皮膚は、
角質▶︎脂溶性
角質より下▶︎水溶性
といように層によって性質が異なります。
私たちの角質はレンガ構造によく例えられていて、
角質細胞(=レンガ)同士を細胞間脂質(セラミドやコレステロール、リン脂質で構成)が接着しているイメージです。
そのため角層は【脂溶性】なんですね。
▶︎角質に浸透するなら脂溶性の方がよいですが、脂溶性すぎると逆に角質より下には浸透しにくいというジレンマがあります。
なので両方のいいとこ取りができる、「両親媒性」が良いのです。
両親媒性の中でも、【GO-VC】は
・線維芽細胞の増殖作用
・I型コラーゲン産生促進作用
があり創傷治癒やシワ予防のためにも使用されたり、
・アルブチンよりも強いメラニン産生抑制効果
があることから、APPSよりも浸透性は劣るものの高い効果が期待できます✨
また、脂質基を持たないことから脂質過酸化による皮膚毒性の問題がなく、従来のビタミンC誘導体に認められたベトつき感が無いため使用感も好評です‼️
(これまでの両親媒性のビタミンCはパルミチン酸などの脂質をつけることによって両親媒性にしていました)
なので新しいビタミンC誘導体としてGO-VCが特におすすめです。
※ちょっと詳しく、、、
油水分配係数という概念:「オクタノール/水分配係数(LogP)」とも呼ばれます。オクタノール(油相)と水(水相)を入れたフラスコ中に薬物を添加後、振盪し、それぞれの相の薬物濃度から以下の式で算出します。 LogP=Log10(油相中濃度/水相中濃度) 油水分配係数が高いほど油相に溶解しやすい(脂溶性が高い)ことを示し、例えば油水分配係数が3の場合は、油相の濃度が水相の濃度の1000倍となります。肌に浸透させるためにはこの油水分配係数が2~3が理想とされています。
※ちなみにイオン導入については、
・アスコルビン酸、APS、APPS、VCエチルはマイナスにイオン化するためイオン導入→○
・GO-VC→非イオン性だがマイナスに荷電しているためイオン導入→○
・APMはMgのイオン結合が強いため酸性の溶液では一部がイオン化するが、皮膚が弱酸性であるため一部だけイオン化→△
・VC-IP→イオン化しないので✖️
となっています。
やっぱりエンビロン!抗酸化力に定評✨ 最後にエンビロンについて少しだけお話しさせていただきます。
私が愛用しているエンビロン Cクエンスシリーズには、脂溶性ビタミンであるVC-IPが豊富に含まれています。
皮膚への浸透度も高く、効果の持続時間も長いので、
VC-IPを配合してもらえているのはありがたいですね✨
ますますエンビロンへの愛が深まりました🩷
ちなみに、GO-VCを含有しているスキンケア製品は、ネットで調べてみると少しありますね!
まだ新しいビタミンなので今後より多くのスキンケア製品に導入されていくのでしょうか。
一度使ってみたいなと思います✨
またビタミンC自体がとても酸化されやすい成分なので、
最初は無色透明でも、酸化が進むと黄色〜茶褐色へと変色していきます。
このような場合には、アスコルビン酸ラジカル自体が肌に悪影響を及ぼす場合もあるので、
使用は控えてくださいね。
「去年のビタミンC美容液がまだ使えるかしら?」
と思っていた方は要注意です‼️
いかがでしたでしょうか。
今回は少し話が長く、難しい内容になってしまいました💦
皆さんのお役に立っていると嬉しいです^^
またのご訪問をお待ちしています❣️